サプラーイズ!

おやつの時間にドナから電話がかかってきた。ポールが急にひそひそ声になる。なにごとっ?!そして急に笑い出して「No problem at all. I'll be there at 5:30.」と言って電話を切った。5時半にどこかへ行くらしいことはわかった。


ドナは私と同世代のアイルランド人で、ランカウイに娘(10歳)と、近所にはお母さんが住んでいる。キャリー家母娘3世代だ。ドナには2人妹がいて、それぞれドバイとオーストラリアに住んでいる。ちなみにお父さんはマカオで働いている。アイルランド人なのに家族の誰もアイルランドに住んでいないのだ。こういう状況って私にはまだ異例な感じがしてしまう。


で、何かと言うと、ドナが母と娘にサプライズしたいから5時半にお母さん宅に来て一緒に飲んでてほしいとのことだった。そのすきにドナが家を出て秘密作戦を実行するらしい。


5時半。いかにもフラっと立ち寄りました的な雰囲気で母宅に入っていった。うちらも共犯者なのだ。ドナとブリーダ(母)と、ご近所さんも一緒に飲んでしゃべってたんだけど、ドナが「ちょっと家に行って荷物取ってくる。」と見事な演技で切り出した。うまいこと言いくるめてご近所さんも家から追い出した。ポールとブリーダが飲んでる間、私はジェイド(娘)と遊んで2人の気を紛らわしていた。


なかなかドナが帰ってこない。待つこと1時間。ドナがしら〜っとした顔で戻ってきた。「お母さん、ジェイド、ちょっと見せたいものがあるんだけど。」ブリーダが「なによ?」と言い終わらないうちに、ドナの後ろから女の人が現れた!
サプラーイズ!!
実は真ん中の娘、タラが急きょ1週間休みが取れたのでランカウイに来ることになったのだ。私はブリーダとジェイドの間に座ってたんだけど、2人の顔はまったく同じで目も口も全開したまま凍りついていた。ちょっとしてからブリーダが私に「あの子、私のベイビーなのよ」と小声と言った。
ジェイドは大好きなアンティ・タラ(タラおばさん)が目の前に現れて発狂寸前。「アンティ・タラ!アンティ・タラ!」と叫びながらぴょんぴょんとび跳ね出した。ブリーダは我がベイビーとハグした後も、しばらく息ができない状態だった。実は待ってる間、タラの話題になってしまって、ブリーダは「あの子は明日ロンドンに行く予定なのよ」と言っていたので、まさかランカウイに来ようとは夢にも思わなかったのだ。
サプライズ、大成功!


その裏で、タラはもう1つのサプライズを実行していた。アイルランドに住んでる親友が結婚して、ハネムーンでランカウイに来ることになっていた。もちろんタラがめちゃくちゃ推薦したからなんだけど、タラはドバイから、親友たちはアイルランドからKL(クアラルンプール)に来て国内線に乗り換えるので、タラはKLでひたすら親友たちを待ち続け、同じ飛行機に乗ってやってきたのだ。
新婦ベリーが言うには、KLの空港で彼らがコーヒー屋に並んでる時にタラが現れた瞬間、あごが床に落ちたらしい。マンガで見るあの状態?!海外でも同じような表現を使うんだ〜と妙な点に感心した。


ともかく、ハッピー・サプライズ大成功!いつもは外で飲まないブリーダも今日は特別なので一緒に外出。遠くから飛んできた3人は疲れも見せず、みんなで朝までワイワイやりました。

左から:主犯ドナ、妹タラ、母ブリーダ、親友ベリー、娘ジェイド