飼い犬に顔を噛まれる

冗談じゃなくて、ほんとのはなし。
いつもみたいに遊ぼうと思っただけなのに、虫のいどころが悪かったのか、予告もなしにガウッと。運悪くそこには私の顔が。歯の当たりどころも悪く、目がカーッと熱くなった。これはヤバい予感!


すぐに顔をジャバジャバ洗ったんだけど、血の臭いがする〜。切れてるんだ。でも怖くて顔は見れない。台所から氷を持ってきて当てるけど、熱は引かない感じ。これは思ってる以上に悪いのかも。でも自分で傷を見る勇気がない。あたしこういうの平気だと思ってたのに、自分のこととなると意外とダメだな〜。そこで困ったときの、ポールさーん!


ポールさんの驚きはこれまた予想以上で余計に怖くなった。あたしどうなってるのー?!すぐに病院に行くという。テレビもつけっぱなし、窓も開けっ放しで、安静に急いでタクシーをつかまえに出た。


タクシーはすぐ来たんだけど、ポールは私を残して目の前のパブへ飛び込んだ。そしてオーナーのジェフと一緒に飛び出てきて、ジェフが流暢なインドネシア語で運転手に病院への行き方を指示してくれた。「ここにはいい医者がいるから大丈夫」ありがとう、ジェフ!


悪いことには悪いことが重なるもんで、時間は夕方6時過ぎ、どこも混雑する時間。しかも病院の手前のお寺では割と大きなセレモニーが!人もバイクもいっぱいで、なかなか進まない。


なんとかEmargencyに着いたのは夜7時前。ベッドが空いていたのですぐに診てもらえた。2〜3人の先生が私の顔を覗き込んで何か言っている。インドネシア語がわからなくてよかった〜。全部聞き取れてたら想像が具体的にふくらんじゃって…あぁ、恐ろしい。


そして英語で「専門家の先生をすぐに呼ぶから、先生に診てもらって、それからまぶたを縫う手術をしましょう」と説明された。私には割りとかんたんに。でも奥でポールに説明してるのが聞こえてきた。
なぬっ?「裂けてる」「部屋の準備」だと?あたし、入院するのー?


ちょっと、ちょっと、ちゃんと麻酔してってお願いしてね。あたし痛いのイヤだよ。すると返事が。「最初はローカルでやるけど、もしダメだったらジェネラルでやるってさ。」は?ローカルって何?地元の麻酔?バリ式ってこと?それって大丈夫?麻酔のローカルって何ー?心拍数が一気にあがってしまったけど、部分麻酔のことをローカルと言うらしい。なるほどねー。あー、英語のボキャブラリも増やさなくちゃ。


手術に向けて血液検査用に採血もして、あとは待つだけ。6時間絶食しなくちゃいけないらしく、最後に食べたり飲んだりしたのが午後3時だったから、手術は9時までおあずけ。
「じゃあ起きて。ゆっくりね。これに乗って。」これ?どれ?車椅子?!私、歩けるんだけど…。片目をガーゼで覆っているだけなのに、大げさに車椅子で病室へ連れて行かれる。病気でぐったりしているならまだしも、外傷だけで中身は元気なんだけどね。

(その2)につづく