ココアとおばあちゃん

今日はもう帰る日。帰りは行きと違う道を通って戻ることにした。グディさんが景色がいいし、そんなに高低差もないとおすすめしてくれた道。寒くなく、とっても快適だった。観光地化していない小さな村をたくさん通過したり、けっこう楽しいドライブ。


あまりにキレイな田園風景があったので、バイクを停めて写真を撮っていると、どこからともなくおばあちゃんがやってきて、なにやら言っている。
え?ココア?
必死の形相で「ココアー!(語尾強調)」と言っている。なんで?
インドネシア語風に「チョックレッ(ト)?」と聞くと、すごくうれしそうな顔でうなずいた。
すると目の前の木になっている実が、カカオの実であることに気づいた。すごーーーい!カカオの実なんて、アフリカのガーナとかに行かないと見れないと思ってた。バリでお目にかかれるなんて!

今度は何かわからないけど、欲しいか?と聞いてきた。
よくわからないから首を振ったのに、ついてこいと手招きされ、うちらはヤブのほうへ。低い木の下に招かれている。怖いよ〜。
すると、おばあちゃんはスルスルと木に登りはじめた!な、何事っ?!
サロンを腰に巻いたままなのに、上手に登っていく。見事だ!

そして何かをもぎとり、ポールに手渡した。それはアリがたくさんたかっている熟したマンゴスチンだった。
アリは続々とポールの手、腕に広がっていく。思わず近くの用水路みたいなとこに手を突っ込んで、アリを洗い流していた。
すると私が呼ばれた。しまった!ポール、早く戻ってきて!でもマンゴスチンをさらにもぎとったおばあちゃんは、それを渡したいらしい。アリごと受け取ると、チクチク、アリに噛まれて痛い!私も用水路へGO!
そして木から下りてきたおばあちゃんは、その用水路で洗ったマンゴスチンを器用に割って、中の白い実を食べろと差し出してきた。あの水で洗った果物なんて、ちょっと心配だなぁ。でも断れもせず、ひとつ口に入れてみた。甘い!皮が厚いから、あの用水路で洗ったって、中身は大丈夫。安心したら止まらなくなった。ほんっとに甘くておいしい!!
「マニス!(甘いの意)」というと、おばあちゃんはすっごくうれしそうにして、どんどんマンゴスチンをむいてくれた。
思わぬおもてなしに感動!何かお礼をしたかったんだけど、あいにく手ごろな金額のお札がなくて、持ってきてたお菓子の存在を思い出した。かきの種!(わさび風味)
「おやつ」って単語が思い出せなくて、ジェスチャートーク。きっと食べ物だってことはわかってくれただろう。不思議そうにアルミパックを見つめるおばあちゃん。辛かったらゴメンね。