お見送りはにぎやかに!

今泊まっているホテルは、わりと交通量の多い通りに面している。で、さっきスピーカーをつけた車が何やら言いながら通り過ぎて行った。なんだろう?
やじ馬根性で部屋を飛び出すと、向かいのレストランやお店からもみんなが通りをのぞいている。何かある!
すると遠くからガムランの音が聞こえてきた。

先頭は看板を持った男子たち。なんて書いてあるんだろう。

頭にお供え物を乗せた女性たち、楽団が続く。
すごく大きな行列だ!!あぁ〜ビデオ撮りたい!うわぁーっ!電池がない!!

2人1組で肩にかついでいるのは木琴のようなガムラン。生演奏なのに、どうしてこんなにいい音が響くんだろう。

今度は黒い衣装の人たちだ。前にお葬式のときは黒だって聞いたことがある。じゃあこの御輿に乗ってる人(手前はおばあさん、後ろは若い女性)は、亡くなった人の家族か?


私の推測を裏付けるグループが続いてやってきた。うわー、やっぱり!カメラ、カメラ!ぎゃーっ!
電池が完全になくなった…
続いてやってきたのは、御輿に乗せられた棺だった。お花もたっぷり添えられて、かなり派手だな。


演奏されている音楽は、決して悲しげな音色じゃない。むしろアップテンポで「なになに、お祭り?」とみんなが集まってきてしまうような曲。きっと故人を大勢でにぎやかに送り出すんだろうな。


前に家政婦さんが大きなセレモニーが3つも重なって悲鳴をあげていた。飾り付けやお菓子、お供えをのせるお皿も全部手作りだから、夜なべがずっと続いているらしい。そのうちの1つは同じ集落に住む人の家族の葬式で、彼女には直接関係なさそうなんだけど、「セレモニーはみんなが手伝ってあげないと、(準備することが多すぎて)その家だけでは絶対にできない。今日も本当は忙しくて手伝いたくないくらいだけど、手伝わなかったら自分のセレモニーのときに手伝ってもらえないから。自分が死んだときも『あ〜、コトゥはうちらのセレモニーを手伝ってくれなかったから、彼女の葬式なんて関係ないよ』って誰も来てくれなかったら悲しいでしょ。」と言って笑い、手はその間もすごい速さで動いていたのを覚えている。


そういえば、こんな平日の昼間なのに、働き盛りそうな男も女も集まって、みなさん仕事は…
もちろんセレモニー優先。いつも会うスタッフがいなくて「昨日はお休みだったの?」「いや、セレモニーだったから実家に帰ってたんだよ」なんてこともしばしば。


集落によってセレモニーの頻度が違うらしく、前出のコトゥは「私はセレモニーだらけのエリアの人と結婚してしまった。娘たちには出身地を厳選してボーイフレンドを作ってほしい」と冗談半分で言っている。
でもこうやってバリの文化は守られ、受け継がれているんだな。