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朝6時。まだ暗い中、ポールが車で出かけて行った。
昨日の午後、ドイツのTVクルーから電話があって、ポールは撮影に向かったのです!!
気になる役柄は…




ヨットのオーナー!!!




昨日の電話で「ヨットのオーナーにふさわしい服をいくつか持ってると思うけど、黒、赤、白はダメ。えりのあるシャツとチノパンなんかを3組ぐらい用意してもらえると、コーディネーターも助かるなぁ」と言われ、あわてて買い物に!
だって、しばらくバックパッカーだったポールが、えり付きのヨットオーナーらしいシャツを持ってるはずがない!


夕方から友達の送別会があったので、夜10時過ぎに帰宅。明日は朝早いから、今のうちに準備しなきゃ!
チノパンは2本くらい持ってたよね?クローゼットから探し出すと、んー、しわが目立つ。今日買ったシャツも、いかにも折りたたまれてました、って感じのしわがクッキリ!
アイロンっ、アイロンはどこだ?!…ない!!この家にはアイロンはないのかー?!
仕方なく、水をちょっとつけてはパンパンとはたくことを繰り返して、なんとかシワは目立たなくなったけど、アイロンをかけたようにパリッとはいかない。


よれよれのシャツとズボンで撮影に向かうポールを想った。
エキストラの登録時に、私も何人かのスタッフと会っている。きっと彼らはよれよれのポールを見て「確か彼、日本人の子と一緒だったよねぇ。日本人って几帳面でキレイ好きかと思ってたけど、そうでもないのねぇ〜。あんなシャツとズボンでよこしてさ。」とひそひそ言うに違いない!
これはいかんっ!私の大和魂が許さない!
再び水をつけてはパンパンを繰り返し、私なりのベストを尽くした。



そして今日の夕方5時過ぎにポールは帰ってきた。
顔が真っ赤!!酔っぱらってる?!
「日焼けだよっ!」と怒られた。どうやら朝の8時半から桟橋にずっと立ってたらしい。
もう一人の外人エキストラと「会話してるフリして!」と言われて、そんな素振りをしたり、
メインキャストたちがボートに乗り込む時に、桟橋を歩いて通り過ぎたりして、
実際に撮影した時間は1〜2分だったらしい。拘束時間10時間。
ポールいわく「えらく退屈で、Pain in the assだ!!」とか。ご苦労様。


ところで私が魂をかけて用意した服装はどうだったの?
「今朝でかけるときに雨がすごかったから、いつもの短パンで行ったら、『そのショーツ気に入った!そのまま着ておいて。シャツはどんなのがあるの?あ〜、これでいいね。』と言って、昨日買ったRm10(約300円)のシャツを着て撮影したよ。なにも3組も持ってくことなかったよ。だって今日一緒だった(もう一人の)ポールなんか何も持たずにジーンズとシャツで現われてOKだったもんね。」
なんだよ〜。パンパンはたき過ぎて手がかゆくなるほどだったのに。ま、無事に終わったならいいか。


次回はフォーシーズンでのパーティ風景の撮影時に呼ばれるらしい。