マウンテン・アッシュ

 
今日はまず、ポールの生まれ故郷マウンテン・アッシュを見て回ることに。ポールは自分のことをValley Boy(谷の人)だと言ってたけど、ほんとに山と山の間に家がいっぱい!
一軒家の並ぶエリアは比較的新しく、ほとんどの家はみんなつながってる!(写真右)しかもこの長屋たちは、みんな築150年くらい。1850年から1900年にかけて、このへんに大きな炭鉱が4つもできて、その労働者のために建てられた家なんだとか。今でも手を入れながら住んでるんだけど、問題は150年前には車が普及してなかった、ってことだね。馬の時代で、駐車場なんて必要なかったから、どの家の車もドアの前に路駐。1車線ずつしかない道だから、しょっちゅう止まって、道を譲りあわないと車が行き来できない状態。でも道路は拡張できないし、車は必要なもんで、みんな暗黙の了解で道を譲りあっている。


ポールが生まれてからアーミーに入るまで住んでいた家はもうない。今は空き地になっている。ポールが入隊して最初の帰郷の時に、家に入っていったら、見知らぬ人に「Who are you?」と言われたらしい。背中に荷物を担いだまま呆然として「ここに住んでたんだけど、うちの家族はどこ?」と聞いたら、「あぁ、すぐ裏の家に引っ越したよ」と言われたらしい。一言の連絡もなく、勝手に引っ越した家族…。ポールは「なんて家族だ!」と今でも怒っている。

ポールが通った小学校は今も存在した。家からは歩いて5分もない。誰よりも早く、1番に登校したくて、ものすごく早起きをしたことがあるらしい。ところが早すぎて門は閉まっている!そこで、先生が来て門を開けたら、一番に走りこんで行こう、と思って、近くの木に登って門を見張っていたんだけど、うっかり寝ちゃって、気づけば大遅刻。誰よりも遅く登校するハメになったという思い出の場所。んー、3つ子の魂なんとやらだなー。


 
山頂を少し超えたところに、みんながTarget(ターゲット)と呼ぶ、とっておきの場所があるらしい。行ってみると、そこはだだっ広い草原。一面のひつじ、ひつじ、ひつじ。水たまりみたいな小さな沼地があって、そこにはおたまじゃくしがいた。でも、それだけ。どのあたりが‘とっておき’なんでしょうか?
うちらが沼地をのぞいている時に、1台のバイクが斜面を登ってきて、そのままUターンして帰っていった。翌日わかったんだけど、実はそれはポールの幼馴染ジミーで、彼もターゲットが気になって見に来たんだとか。40年くらいたつのに、まだ彼らを気にさせてしまうターゲット。その魅力は私にはわからない。

続いて‘とっておき(2)’のコムと呼ばれるところに行った。この川では魚がよく獲れるらしい。(写真右は真剣に魚の獲り方を語るポール氏)
いま泊っているパブのオーナー、ポムや、さっきのジミーたちと一緒にキャンプもしたらしい。夜も泊まったことがあるのか聞いたら、何言ってるの?と言わんばかりの表情で「10日はここにいたよ!」と言われた。いま子供だけで10日間も家をあけたら大問題になってるだろうに。



 
マウンテンアッシュ出身の偉人がいる。どんな風に偉いかというと、彼はやかんが沸くよりも早く、隣の町まで走って行って帰ってこれたとか。そんな彼Guto(ギト)の偉業をたたえて、元旦の夜中にはNos Galan(ノスガラン)という町内1周マラソン大会も行われている。
英雄Gutoが眠る教会(St.Gwynno church)に偶然たどりついた。でもその前に1杯、ということで目の前のパブへ。中に入って教会のことを聞いてみたら、886年に建てられたんだって!1ケタ足りないんじゃないかと思って、よーく注意して話を聞いてみたけど、やっぱり886年。今でも日曜日には普通にサービスが行われているらしい。1100年以上の歴史!



その夜、パブに戻って「今日はターゲットとコムに行ってきたよ」と言ったら、四方八方から「どうだった?!」「マスは捕まえた?」「グースベリーの茂みはまだ残ってる?」とか質問攻めに。こんなに誰もが知ってるとは思わなかった!