タイプサム 痛い、痛い、痛い!

今日のチュリア通りはサリーで正装したインド人女性が目立つ。あ、男性もいた。するとポールが「あ!水曜日!ヒンドゥー教のお祭りだよ!」と思い出した。そういえばKellyが、どうしてもこの祭りが見たいからペナン島滞在に水曜日を含めたって言ってたな。

すると今度は背中からロープがいっぱい出てる青年が、上半身裸で歩いている!!!目の前を通ったものが何かよく理解できなかった。彼のお母さんや姉さんみたいな人も後ろからいっしょに歩いている(ひもを引っ張ってる人ではない)。なにごとだ???

背中からロープだけではない。「一人リオのカーニバル」みたいなきらびやかな装飾を担いだ男性も、これまた上半身裸で歩いている。足首にはたくさんの鈴をつけて、シャリンシャリン鳴らしている。彼に続いて、他のインド人たちもぞろぞろと歩いている。

これはThaipusam(タイプサムというヒンドゥー教のお祭りで、後から知ったんだけど、本国インドでは既に危険すぎるから禁止になって、今では世界でもKLとペナン島でしかやってないらしい。だからこんなにインド人が集まってたのか。どこのゲストハウスも満室だった理由も明らかに。

ボタニカル・ガーデン近くが一番にぎわっているというので行ってみた。日中は暑すぎるから朝か、夕方以降に歩く信者が多く、夜は大騒ぎらしい。車も遮断され、通りの両脇には小さな店がたくさん並んでいる。

タクシーの運転手(中華系マレー)の説明によると、女神にはだんなが2人いて、夜明けに出発してだんなのいる寺まで歩いていき、翌日は2人目の寺まで歩いていき、3日目は帰っていくんだとか。「3日目はだんなの元から帰るだけだから、みんなゆっくりゆっくり歩くんだよ。あはは」って笑ってた。ここ、笑うとこ?

しかし、誰がこんな苦行をやることになってるんだろう。毎年選ばれるのか、生まれ年で決まってるとか、立候補か。そして何のために??見れば見るほど疑問がいっぱい。
とある店で聞いたところ、昨年(ヒンドゥー教の暦では「今年」扱い)悪いことをしたか、ものすごく成功した人が神様に御礼を言いにお参りするんだとか。
口に三つ矛の矢を突き通して、背中に釣り針をたくさんつけて後ろからひっぱり、重たい一人カーニバルを担いで歩くことが「御礼を言う」ことになるんだろうか?!宗教のことだから、いろんな考え、解釈があるんだろうけど、私にはわからーん!
こんな暑い日に麻酔も鎮痛剤もなくカラダに針を刺して、汗をかくし、炎症とか起こさないんだろうか?そのために黄色や赤の粉(牛糞を乾かしたものと後に判明)を塗りたくっているのか?!


 
ここで気分転換にお供え物の話。みんながぞろぞろと入っていく寺院があったので、うちらも入ってみた。ここではArchanaiというお供え一式(割ったココナッツにバナナ、燃える角砂糖みたいなのと線香)を買い、本堂に入っておでこに何か塗ってもらい、本像の後ろをくるりと回って終了らしい。うちらも一式買ったものの、本堂内は混んでるし、一方通行に割り込みが多くて(笑)くるっと回らずに出てきてしまった。隣の写真はかわいい門の模様。

 
山の中腹に展望台のような寺院が見える。どうやらそこが目的地らしい。背中からロープの人も、一人カーニバルの人も、もちろんその他普通の信者も観光客もそこへ行く。うちらは…「いいよね?」と見合わせて引き返してしまったけど、帰りのタクシーの運転手に「なんで登らなかったの?世界中からあそこへ登るために人が集まってるのに!」と言われた。そういわれるとすごく惜しいものを逃した気分。来年までさようなら〜

歌うおじさん隊を発見。その歌声は「♪ハリクリシナ〜ハリクリシナ〜」と言っている。ポールがハッ!とした。そういえば2007年の正月、六本木の英国パブのトイレに並び中、「ハリクリシナ」を連発するインド人グループがポールの後ろにいて、ポールがマネして「ハリクリシナ〜」って言ったら「あんた、ハリクリシナを知っているのかっ?!」と驚かれ、トイレからずっとポールについてきて離れなかったことがあった。どの写真を見てもポールの背後にはインド人が写っていた。そのことを思い出した。メロディもなんとなくポールの記憶と似て非なり。
ハリクリシナはヒンドゥー教の一派らしく、ビートルズもインドを訪れた際にハリクリシナのお参りをしたらしい。ハリクリシナによるジョージ・ハリソンジョン・レノン&ヨーコ・オノへのインタビューがまとめられた本を薦められ、1冊買うことに。


新たな人を発見。小さなやかんみたいのが鈴なりに付いている。もちろん釣り針みたいのでカラダに1個1個直接付けてるんだけど。これはミルクポットらしく、やはり神に捧げるミルクなんだとか。デカいやかん1つにミルクをたっぷり入れたらいいじゃんかー。なんでこんなにたくさんの針をカラダにつけるのが「良し」なのか、本当に理解に苦しむ。でも、彼の顔がなぜか誇らしげに見えた。「オレ、527個つけたぜ」とか、そんな感じかも。きっとご両親も「まぁ、こんなにたくさん神に捧げられて誇りに思うわ!」ってとこだろうか。


暗くなるとインド独特の音楽がガンガンかかるようになり、一人カーニバルも担いだまま踊ったりしてた。重たくてつらいはずなのに踊れるなんて、音楽って苦行を和らげる効果があるのかも。大人も子供もみんな踊ってる。それを見たら、この祭りも悪くないかもって気がした。でもやっぱり口に矢を刺したりするのはどうかと…