世界最強の指?!

毎週金・土・日の夕方からJonker St.はNight Marketになる。屋台がわき道まで広がってけっこうなにぎわい。普通にスタスタ歩いたら10分もかからなそうな距離のJonker St.も、毎週末は通過するのが大変。一方の端には大きなカラオケステージがあり、ひっきりなしに歌い手(もちろん地元の人)が登場して大勢の観客の前で歌っている。

もう一方の端(Dutch Square側)にも何重にも人だかりができている。この小柄なおじさんこそマラッカの名物おじさんで、人差し指で青いココナッツの実に穴を開けてしまうのだ!しかも数秒で!!

ポールは4年前にもおじさんがオリャオリャッ!とココナッツに穴をあけるのを見て、その後でおじさんが指に塗っていたなぞのオイルを買ったらしい。おじさんは今年で53歳らしいが、指はいまだ健在。

観客の輪の内側を、指を掲げながらぐるっと1周し「これがその指だぞ〜」と見せて回る。指は決してまっすぐではない。関節ごとに曲がってしまっている。あぁ、指を見てるだけで、もう痛い。2周目はココナッツを持って周り、欧米人を見つけては「どこから来たの?」と声をかけ、ココナッツを触らせて確かにごく普通のココナッツであることを見せる。ひじで突くんじゃないよ〜、チョップでもないよ〜、この指で穴をあけるよ〜と念を押し、アシスタントにミュージックをスタートさせる。いよいよショーの始まりだ。

気を集中させ、音楽がクライマックスっぽくなると一気にオリャ!オリャオリャッ!と3連発。続いて左手をハンマーのようにして右手をココナッツの実に打ち込み続けた!なんでこんなこと思いついたんだろう?!見てる私の指が痛い!指が付け根までしっかり中に入ってしまって、今度は抜け出すのが大変らしい。アシスタントを呼んでココナッツを固定させ、ぐりぐりと指を引き抜いた!わー、拍手喝采!!

あらら?おじさんはよろめき、指を抱えて座り込んでしまった。よほど痛いらしい。ボトルからオレンジ色のオイルをドボドボと指にかけて塗りこんでいる。そんなおじさんをよそに、アシスタントは誇らしげにココナッツをひっくり返し、中のジュースを振りまいて確かにおじさんが穴をあけたことを証明した。アシスタントを手招きしてヘッドフォンを着けさせるおじさん。何か発言するのかを思ったら「あと2分…あと2分くれ。」と言ってもう1本ボトルを開けてオイルをドボドボと指にかけた。これもパフォーマンスか?

観客の輪からは早くもRm10札を差し出す人が出始めた。「ティッシュティッシュ」と言ってアシスタントに額の汗をぬぐわせ、元気を取り戻したおじさんは既に個別包装済みのボトルを5〜6本鷲づかみにして、観客の輪の内側を歩き始めた。みんな次々にお札を差し出す。あっと言う間に10本、15本と売れていく。そしてこの後もおじさんはトランプのカードを垂直に高く投げたり、なぞの技をいろいろと披露してはオイルを売るのであった。

あ、ちなみにおじさんは日曜日はお休みです。